【恋の境界線】

 ガラス越しの可愛いあの子。
 僕はいつも隣で見つめることしかできない。
 髪はすらりと長く、綺麗である。
 そして、とても女の子らしい。
 話したことはないけれど、僕は彼女を好きになっていた。
 対して僕ときたら、くせっ毛でもじゃもじゃしている。自分の見た目が恥ずかしい。
 告白したいけど、自分に自信はない。
 ある日、隣の僕の好きな子に、告白した子がいた。

「この子可愛い! この子好き!」

 なんと大胆なのだろう。僕はガラス越しでしか見られないのが憎らしい。僕も告白したい。
 そう思っていると、僕の好きな子は部屋から出ていった。

(ああ……お別れなのか……)

 悲しくて、目がウルウルしてきた。
 僕の好きな子を抱きしめた子の親がこういった。

「去勢済みだから、発情しないだろう」

 僕が好きな子犬は、どうやら男の娘だったようだ。
 去勢されていたから、とても女の子らしくなっていたのか……。
 僕は新しい扉を開いた気がした。

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